鳥取で観察できるおもなホタルについて
ホタルは世界に約2000種類(熱帯を中心)、日本に46種類(2010年時点)、そのうち成体になっても強く発光するのは14種。しかも、世界的にみても水中生活の世代がある水生ホタルはゲンジボタルとヘイケボタルなど5種類ほどで、ほかにあまり例がありません。
またホタルは主に水生・陸生の巻貝を餌とする肉食性で、原則的に餌をとるのは幼虫の時だけです。
成虫になると発光と生殖に専念するため、消化器官が発達せず、餌をとりません。
ここでは、鳥取で見られる比較的識別や観察がしやすい、ゲンジボタル、ヘイケボタル、ヒメボタルについて紹介します。
清らかな流水域に生息する大型のホタルで、体長はオスよりもメスのほうが大きい。メスを捜し出すために、オスが同調発光している場合、西日本では2秒毎に発光する。メスは交尾後、直径0.5mmの卵を500個から多いもので1000個ほど産卵。集団で産卵する習性があり、発光しながら産卵する様子は川岸に出現した「火の玉」と間違えられることもあるほど。産卵直後の卵も発光しているが、やがて黒っぽく変色する。メスよりも先にオスが羽化する傾向がある。
水田、池など、主に止水域に生息する。体長はゲンジボタルよりやや小型、ゲンジボタルと同じでメスのほうがオスよりやや大きい。またゲンジボタルより早い間隔の、瞬くような発光パターンなのが特徴。発生時期はゲンジボタルよりやや遅いが、比較的長期間、成虫として飛翔する。メスは0.6mmの卵を、30から80個産卵。ゲンジボタルが見られない北海道にも生息し強い生命力を持つホタルと言われる。下水道の完備にともない、市街地、住宅地でも生息が確認され、都会のホタルとして注目されることもある。
ゲンジボタル、ヘイケボタルとはまったく異なり、生息のために水辺を必要としない森林性のホタル。オスの発光間隔は早く0.5秒に1回、瞬間的発光を繰り返し、地上低く飛ぶ。メスの羽は退化し、まったく飛ぶことができない。体の割りに大きな卵(直径0.6mm)を20から30個産卵する。ごく限られた地域にのみ生息すると思われていたが、県内の各地(主に中国山地に沿う山間地域)で発見例が相次ぎ、意外に広く生息していることが推察される。